マッコリ通信vol.26 「日本酒を日本から韓国へ、マッコリを韓国から日本へ 1」
日韓関係が良好か険悪かを問わず、両国にとって双方は共に、主要貿易対象国でしかない。
日本から韓国への輸出量を見ると、農林水産物・食品部門では世界5位、そして韓国への農林水産物・食品輸出品目内訳では、アルコール飲料が断トツの1位だ。
その内の3分の1を、日本酒が占める。
日本酒単独だと、輸出相手先第3位だ。
2000年初頭と比較すると、現在、韓国への日本酒輸出量は30倍程増加している。
韓国国内で何故か、東日本大震災後、韓国での日本酒消費量が前年比で一気に数倍も増えたと言う誤報が流れはしたが、震災後も消費量は順調に推移している。
ここ数年、日本国内での日本酒消費量も、微量ではあれ増加しているが、2000年初頭に比べれば、日本酒蔵の数も含め激減しているのとは対照的に、活況が際立つ。
日本酒の世界輸出に占める韓国のシェアは第3位、卸価格ベースでは500億ウォンに迫る勢いだが、その第1の要因は、ソウル、釜山を中心に日本式居酒屋や寿司店の人気が今も上昇し続けており、外食市場での日本酒の認知度・人気が更に高まっている事に拠る。
日本に於ける韓国産マッコリの流通価格が、韓国国内でのそれよりかなり上昇する一因に、輸入の際の酒税・関税等があるが、韓国での諸税も大きな負担となり、更にアルコール飲料に於ける韓国国内流通の規制は、日本とは比べ物にならない程厳しいので、韓国での日本酒価格は高騰しやすい環境にある。
こうした状況を、創意工夫で克服する手立てはあるが、容易ではない。
酒の取扱い・流通に際し、諸々兼業が許されず、宅配事業者を含む他社からの配送も認められず、卸売免許の新設も認可されない。
韓国を基準に考えると、日本の規制は大分緩い。
↑全羅南道でしか飲めない「もち米新米 ハヌルス生マッコリ」
500種類程の日本酒が流通すると言われる韓国、ソウルではある意味、マッコリよりも多くの銘柄が並んでいる事になる。
ニッチな市場内で銘柄が多いため、競争も激しく、新規参入が難しい。
先行者の優位性は揺るがず、日本国内のブランド力も決定的なプラス要因にはなり難い。
日本酒メーカーの多くが、日本国内の卸売業者を経た輸出方法を採っているが、メーカーからの直接輸出で、コストをかなり削減できる(当然ながらノウハウを要し、リスクも発生するが)。
韓国への酒の輸出では、韓国国内での煩雑な流通を経るだけでコストが嵩むため、出荷価格を日本国内のそれと同様に設定するだけで、韓国での販売価格が高騰すると言う困難が前提にあるが。
実際に韓国では、安価な900mLの紙パック酒(20銘柄弱)が、日本の3倍から4倍弱で売られている。
この紙パック酒が、韓国の日本酒市場の50%以上を占める。
紙パック酒の存在は全く否定しないが、韓国の日本酒消費者層が日本酒を飲む動機の1位にあがるのが「味・美味しさ」なのは、少し勿体なくないか。
翻って、韓国産マッコリの日本への新たな進出は困難か。
マッコリの潜在需要を喚起出来るかと言う根本的な問題はあるが、韓国での事情と照らし合わせても、必ずしも厳しい側面ばかりとは思えない。
今週開かれるフーデックス(アジア最大級の食品・飲料展示会)でも、韓国マッコリメーカーの出展は史上最少と、これまでにも増して消極的な姿勢が続くが、今は新たな日本展開の好機だ。
その明確な根拠も、もちろんある。
次回に続く。
マッコリ協会
金在浩
↓上段ボトルが「me3(ミスリー)」
昨年、日本で最も多く消費された新銘柄の韓国産マッコリ
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2014/02/28 21:05 入力