韓国人と日本人の交流がひろがる新大久保

東京の新大久保にあるコリアタウンは、韓国の芸能人のグッズショップや韓国料理店、カフェ、韓国を紹介する場所などピーク時には、約60店舗も軒を連ねた場所である。「韓流の聖地」とも呼ばれ、韓流が人気絶頂の時には3万人以上の人出でにぎわったときもあるようだ。テレビや雑誌にもよく取り上げられ、韓国料理の美味しいお店や韓国の珍しいものなど紹介する特集が組まれたりしていた。韓国料理は健康に良い食べ物が多いそうで、庶民的な値段で大人気である。


「冬のソナタ」から始まったヨン様ブームやその後に続く韓国ドラマの人気は、中高年の女性を中心に、あっという間に盛り上がりをみせた。多くの韓国ドラマが放映され、韓流スターがうまれた。韓国という国が距離的にも近く円高だったこともあり、気軽に楽しめる海外旅行先であったというのも、韓流が一時的なブームで終わらなかった理由のひとつであろう。大好きな韓国ドラマのロケ地を巡る旅や韓国のグルメを楽しむ旅など、韓国を訪れる人が多くなった。また、韓国は美容大国であり、韓国コスメと言われる化粧品や美容グッズがいろいろあり、カタツムリやへびなどのエキスを使用した化粧水など珍しいものがたくさんあり、美容に関心の高い日本の女性の心をつかんだ。韓国のあかすりやエステなど手頃な値段で楽しめるのも、癒やしブームのニーズに合致した。東京の新大久保は、韓国まで行かなくても、そういったものが体験できるお手軽な観光スポットとして脚光をあびたのである。

韓流ブームが起こるまでは、近い国なのに韓国のことはあまり興味を持たれていなかった。むしろ、戦争時代の歴史から、日本に住む韓国人と日本人の間には心理的な距離があり、コリアタウンに観光に行くことなどはなかった。韓国の文化や食事などに興味を持つことも全くなかった。その当時の状態から、現在の活発な交流の様子を想像できた人がいるだろうか。

韓流の効果で、日本人の意識も大きく変化し、韓流の聖地・新大久保は日本人でにぎわう場所になった。そこで働く韓国人とのふれあいも、新大久保を楽しむ要素のひとつになっている。韓国語を学ぶ日本人が増え、ドラマの影響で片言の韓国語ならば理解でき話せる人が増えた。相手の国のことを知ることで、お互いの理解が深まったといえる。もちろん、知っていけばいくほど、いろいろな国家間の問題もあり、韓流ブームにも陰りが見えはじめている。そのあおりで、店が閉鎖され、新大久保はさびれはじめている。しかし、一度つながった人どうしの草の根の交流は今後もずっと続いていってもらいたい。新大久保は、韓国人と日本人が一緒になって楽しめる場所であり続けてほしいと思う。
　

2014/07/23 16:47 入力