韓国の旧盆に食べるソンピョンは、新大久保でも買える
韓国の秋のイベントのひとつに、チュソク(秋夕)がある。チュソクとは、韓国の旧盆にあたる旧暦の8月15日と、その前後1日を合わせて休日となるイベントなのである。韓国では、旧暦の1月1日のソルラルと同様に、チュソクにも親族が集まるのが習わしであり、集まった一族でチャレ(茶礼)という儀式を行ったり、先祖の墓参りを行ったりするのである。
↑「ソンピョン」写真はイメージです。
チュソクのときに食べる代表的な食べ物が、「ソンピョン(松餅)」なのである。米粉で作った皮の中に、ゴマや豆、小豆、クリ、ナツメなどを入れて、蒸したお餅であり、松葉を敷いた蒸し器で蒸して作るので、餅から松葉の香りがするのが特徴となる。ソンピョンは、チュソクの前日の夕方から、家族が集まって作るのが習わしなのである。ちなみに、韓国では、ソンピョンをキレイな形に作ることができたら、独身女性は結婚相手に恵まれ、妊娠している女性は、可愛い子どもに恵まれるといわれているのである。
前述したチャレ(茶礼)の儀式は、チュソクの当日の朝に行なわれる儀式であり、旧暦1月1日のソルラルでも行なわれる儀式なのである。ただし、チュソクのチャレでは、新米で炊いたご飯を食べ、ソルラルでは餅入りスープであるトッククを食べるという点が、同じチャレでも異なる点となる。また、チャレの儀式が終わると、福を授かるという意味合いから、家族全員で祭壇に供えた食べ物を食するのが習わしとなる。
日本のコリアンタウンといわれる東京の新大久保でも、チュソクの代表料理ソンピョンの主材料となる米粉が、時期に合わせて大々的に店頭で売られているのである。また、米粉を買って自宅で作らずとも、新大久保の街を歩くとあちらこちらで、ソンピョンをはじめとした韓国の餅や餅菓子が売られている。新大久保には、韓国式の伝統餅専門店もいくつか存在しており、1年を通してソンピョンを購入することができるのであるが、チュソクの期間はどこの店でも大量に作って、大量にさばくようになる。ちなみに、ソンピョンで使う松葉には、厄除けの意味があり、鋭利な先端を鬼神が嫌うとされているのである。
チュソクの当日、チャレ(茶礼)の儀式が終わると、一族で親族の墓を訪れ、「ポルチョ(伐草)」と呼ばれる草取りを行い、墓掃除をするというのも、チュソクの習わしとなるのである。ポルチョが終わると、その年に収穫された穀物やお酒などを、先祖に備える儀式を行うのである。その際のお酒は、新米で醸した酒であり、「ペクチュ(白酒)」と呼ばれている。そして、チュソクの夜は、満月を愛でながらノリと呼ばれる民族遊びをみんなで楽しむのが、古くからのチュソクの風習となっているのである。
2015/09/25 17:51 入力